凡人のブログ

ほぼ独り言です。

なぜうつ病の苦しさは理解されないのか?

僕は現在、心療内科うつ病と診断され、抗うつ薬抗不安薬を処方されている。しかし、周りの友人には、心療内科に通院しているという事さえ打ち明けられないでいる。

その理由は、二つある。一つ目は、心療内科に通院していると知られたら、引かれるんじゃないかという恐れがあるからで、二つ目は、うつ病と診断されているとバレたら、うつ病なんか甘えじゃないかと言われるような気がして、それが怖いからだ。

 今回は、二つ目の理由、つまり、うつ=甘えという言説について考察してみたい。実際、検索エンジンうつ病と打ち込むと、予測変換で「うつ病 甘え」と出るぐらい、ネット上ではうつ病を、病気としてではなく、個人の気質の問題として捉え、根性論で克服することができるという言説があふれている。

 この問題に対し、多くの識者は、うつ病がれっきとした病気であり、甘えなんかじゃないということを解説するばかりで、なぜこういう言説が生まれるのかを分析している人は少ないように見える。

 そこで僕は、なぜうつ病=甘えという勘違いが生まれるのか、言い換えれば、なぜうつ病の苦しさが多くの人に理解されないのかということについて考えてみたい。

 僕が思ううつ病の苦しさが理解できない理由は、大きく分けて二つある。

 一つ目は、うつ病に明確な診断基準が無いという事だ。これは精神的な病全般に言えることかもしれないが、うつ病は、一般的に、検査ではなく、問診によって診断される。CTやレントゲン、血液検査などの客観的な指標ではなく、精神科医の主観のみによって、うつ病だと診断されてしまっているという現状が、うつ病なんて精神科医の前で演技すれば診断してもらえるんだろうという誤解を生み、うつ病=甘えという偏見ができる、大きな原因のような気がする。

 最近僕が読んだ本によると、うつ病は脳内の神経伝達物質であるセロトニンの不足によって引き起こされるらしい。脳科学、神経医学の進歩によって、客観的な数値でセロトニンの不足が示せるようになれば、うつ病=甘えという偏見はだいぶ少なくなるだろう。この分野のさらなる発展を期待したい。

 そろそろ二つ目の理由に移ろう。僕が考えるうつ病の苦しさが理解されない二つ目の理由は、うつ病の症状が、何もする気が起きない、体がだるいなど、うつ病にかかったことが無い人でも、誰もが経験したことがあり、尚且つそこまで辛い経験でないということだ。大半の人にとっては一晩寝れば治るそれらの症状が、うつ病患者の場合ずっと続く。比較的、軽いように見える、無気力や体のだるさなどの症状も、ずっと続いた場合の苦しさはかなり強い。しかしながら、その苦しさを、経験したことのない人に共有するのは難しい。この、苦しさを、経験したこのない人に共有するのが難しいという点が、うつ病=甘えという言説の大きな原因になっているような気がする。

 今回は、なぜうつ病の苦しさが理解されないのかというテーマで記事を書いてきたが、この作業はなかなか骨が折れた。なぜなら、僕はうつ病患者という当事者であり、うつ病なんか絶対にかからないし、そんなものは甘えだろうと思っている人の気持ちが全く分からないからだ。やはり自分とは全く異質な人の気持ちを知るのは難しい。そう考えると、経験したことが無い人が、うつ病なんか甘えだろうという気持ちが少し理解できるような気がした。